【Class Diary】「マイム」クリエイティブ・カウンセリングⅠ(1年生)

「マイム」

クリエイティヴ・カウンセリングⅠ(基礎科目)

授業担当:飯名尚人

クリエイティブ・カウンセリング Ⅰは、映画・映像専攻の1年生が必ず受講しなければならない授 業のひとつです。映画・映像表現では、カメラの身体性、被写体の身体性、監督の身体性が大事 です、それは身体によるコミュニケーションとも言えます。身体でのコミュニケーション方法を獲得して、豊かな映像表現を目指します。 今回は、ゲスト講師に佐々木博康先生をお招きしました。 今年度、この授業でテーマとしている「ノンバーバル・パフォーマンス(非言語パフォーマンス)」 の一環です。 

授業内容 

・「マイム」と「パントマイム」の違い

・マイムの基礎(ゆっくり動く)

・同一化、とは?

・リアリズムマイムのエクササイズ

・映画のワンシーンをマイムで演じる

・グループワーク

・発表と講評

まず初めに「マイムは、胸の動きなんです。その次が手。最後に表情です」と、佐々木先生が基礎的なマイムの動きを学生に指導。ゆっくり動く、ということから始めます。ゆっくり動くことで、 動作に精度が生まれます。さらにその動きを使って、地面に咲く花を摘む動きをマイムで行いま す。「これを同一化、というのですが、花を摘み取った瞬間から、自分の全身に花が咲いて、自分 が花になってしまうんですね。」 さらにリアリズムマイムに続きます。「足音のエクササイズ」では、夜中に部屋で一人で小説を読んでいると、ドアの向こうから足音が聞こえる。何かなと思ってドアを開けて外を見ても誰もいない。また戻って小説を読む、すると、また足音が・・・。これが三回続きます。」佐々木先生は 「三回ドアを開けますが、全部反応の仕方、演技の仕方が異なっていないといけません」と指導。 驚いたときのマイムでは、驚く動きだけでなく、呼吸も大事だということが分かりました。 

最後に、イングマール・ベルイマンの映画作品「野いちご」(1957年・スウェーデン映画)の ワンシーンを、マイムで演じます。学生たちは映画を観て、今日学んだマイムを使って演じます。 映画のワンシーンを身体ひとつだけで、セリフも発せずに演じる練習です。主人公の恐怖、戸惑 い、焦りなどが、マイムによって強調され演じられていきます。 フランスのマイム教育は、俳優をアーティストとして考え、脚本に書かれたセリフを読むだけの役割ではないことを提唱しました。映画作品が、俳優の演技によって深まっていくことを学びまし た。 映画・映像を学ぶとき、自分の身体感覚を忘れないように、という思いもあって、クリエイティブ・カウンセリングⅠ(身体感覚)が始まりました。自分の身体感覚を知る、相手の身体感覚を知ることから生まれる映像表現を目指します。(文/飯名尚人)