【Class Diary】映画社会学演習A(1〜4年生)

映画社会学演習A(ハイブリッド基礎科目)

授業担当:髙橋直治

プレ課題:「わたしの心を揺らす一枚の写真を巡るSonimage」

▶︎見ていると、何か上手くは言葉にはできないが、なにか心が揺れる/なにか心がざわめく/心がキュっとなる、つまり、とってもエモーショナルな部分が刺激される。そんな、自分が写っている一枚の写真を見つけてきてください。その写真をプロジェクションしながら、その場でナレーションしてもらいます。

①その写真を見ているどんな気持になるのか?

②その理由はなぜなのか?

③その写真が撮られたときのことを具体的に説明してください。

いつ、どこで、どんな状況で、誰によって、撮影されたのか?(わからなければ、取材をして、探求していくこと)

▶︎20人分の個別な「わたしの心を揺らす一枚の写真」が発表され、20個の「写真+ナレーション」という小さな“パフォーマンス作品”が生成されました。そして、全員が、お互いの作品に、丁寧かつ繊細に合評コメントをしていく、ということをしてきました。

それは、“かつて・どこか”で撮られた一枚の写真を、他者と共に見つめ、他者と共になんとか「ことば」にしてみることを試し続けることで、“見ることと見られること”という紋切りな既成イシューや、作者と観客という固定的役割を、乗り越え合い、解体し合い、「いま・ここ」で生成されていく、そんな体験となったと感じます。

他者とともに一枚の写真について“喋る”ことは、明示的な情報や口当たりのいい感情やキャッチーな心理を説明することや伝達することでは全然なく、言葉にするそばから溢れ落ちていくであろう、自らのフワフワする身体を、裸形のままに、他者の前に思わず現前させてしまえる場が不意に現れたのかもしれません。20個の、紛れもないパフォーマンス作品の誕生に立ち会うことができたことに改めて小さく感謝するばかりです。

(文/髙橋直治)